普通日記

働くトリネガ、絵描き修行中につき

変わったこと、変わらないこと

鹿児島での治療をひとまず終えて、症状も特に問題なく落ち着いている。そうなると乳がんブログであるここのネタも底をつく。未婚で子供もいないので、ほのぼの子育て日記や、ダーリンとのラブラブ日記にシフトできず、気がついたらクリスマスで、あらやだ、年賀状書いてねーぞ、と焦ったりしている普通の年末。まぁいいか、普通日記だし。

職場に復帰して2週間が過ぎた。妙齢シングル女は働かねば生きていけない。給料がダウンすると食い扶持に直接ひびく。ガンになろうがなるまいが、そこは変わらない。ガンだから優しくしてください、なんて甘い話が通用するはずがない。しかし、今後も検査で休むこともあれば、追加治療があるかもしれない。再発や転移があるかもしれない。ガンになる前と同じというわけにはいかない。

先日は出張をことわった。工場内の事務所にもヘルメットがかぶれないので行かれない。かぶっても取る時にズラまで取れたら大惨事。私が、というより周囲が。ちょっとした事ができなかったりする。なので直属の上司にはできるだけ状況を話して相談することにした。マメで切れ者の上司で助かった。優遇はなくても配慮はしてもらっている。

職場の中でどこまで話をするかは迷うところだ。どこにでもワイドショーな人はいるもので、乳がんなんて一応センセーショナルな部類に入るだろうから、そういう人にとってはおいしいネタになる。自らエサをまいてやるつもりはない。一方では、手を貸してもらう場面も増えるので、黙っているのも道理が通らない。

できること、できないこと、やりたいこと、やりたくても無理なことの境界線が変わったという事実をひとまず受け入れなければいけない。なかなかバランスが難しい。

私の家は自営業だったので、病気で休業することがどれだけ厳しいかは理解できる。会社で入れ替わりが頻繁な派遣社員やパートさんの様子も知らないわけじゃない。ガンになっても仕事がある、仕事ができる。今はそれだけでありがたいのだと思っておこう。

 

なーんて仕事をしているフリをしてブログ下書き作成中に、新しいお仕事を言い付かったよ、と。ケモでやられた頭で新しいこと覚えられるのかな~。私の海馬はどうかな~。ぼけぼけ。

あ、そうだ、遠方から友人がお見舞いに来てくれたので、温泉に一緒に泊まったんだけど、そこで海馬の謎を解いてもらったよ。海馬とはタツノオトシゴのことで、顔が長いから海の馬。大脳辺縁系で記憶に関わるお役目を果たす部分がタツノオトシゴの形に似ているところから海馬となったそうだ。

前に不思議に思って調べたことがあるんだー、ってサラリと言っていたが、たぶん彼女は変な人というカテゴリー(笑)

そしてさらに、緑青は銅にとっての愛、という話もなかなか興味深かった。銅のサビっちゃそれまでなのだが、緑青が生じた銅はそれ以上の腐食をすることがなく、むしろ内部は抗菌力で守られる。君は僕が守るよ!という銅への愛、それが緑青、という話を博物館の一角で古銭を見ながら淡々とする友人。なるほど、何度もコクコクうなずいちゃったよ。説得力あるな~。鎌倉の大仏なんて愛にあふれてるってことだね。

仕事では使わない脳の部分に刺激を与えてくれる友人のムダに豊富な知識は、いつでも上等のユーモアでラッピングされている。これは変わらない。たぶんずっと変わらない。