普通日記

働くトリネガ、絵描き修行中につき

あちこちランチ

鹿児島滞在2週目。ひとりランチ行脚もそろそろネタ切れかと思い始めた頃である。ふと、9月まで同じ時期に治療をしていた彼女がそろそろ鹿児島入りしているのではないかとメールしてみる。当り!ごはんしようと提案する。第1クールで一緒だったみんな、元気だろうか。たぶん元気だな。明るくておしゃべりで、おしゃべりで、おしゃべりで、したたかにしなやかに、意志は強いが情の厚い人たちだもの。UASオンコロジーセンターで知り合った友人たちの印象である。みんなガンなのに愉快な人ばかり。

ランチも2人になるとまた趣向が違ってくる。ひとりで入るのに躊躇していた店に行かれる。まずは寿司。前回は真夏で抗がん剤で痛めつけられた上に放射線だったので、さすがに寿司を食べる勇気はなかった。まぁ、今回だって白血球の値は落ちるのだか、肉より魚派の私はもう限界なのだ。寿司なんていつ以来だ?4月か、そうか4月だ。治療前に行っとけー!とぽんちゃんが新潟まで連れていってくれたのだ。寿司のために県外。海のない所に住んでいると不便よねー。

あちこちのオンコロブログに登場している「喜鶴寿司」はカウンター席を確保すると目の前で握ってもらえる。880円でたっぷり楽しめる。思わず「うまい!」と雄叫びあげるのも致し方あるまい。

翌日は野菜をたっぷり取るべく、レム鹿児島2F「巳八」で。ビュッフェスタイルで好きなものをセイロで蒸してたらふく食べまくる。飲茶ありカレー・パスタあり、デザートまである。一見して健康志向な品揃えだが、食べすぎるのはいかがなものか。いや、あの状況で自制できる女子がいるだろうか。無理!グルメサイトでクーポンをGETしてから行くがよろしい。

ホテルのロビーで治療までの時間調整。そこで友人がバッグから取り出したメモ。そこには何やら細かく書き込まれたタイムテーブルが。「行きたいランチ店リスト」だった。日数が足りなくて~、全部は難しいかな~、とパズルを解くように治療時間とすり合わせている。本人いたって真剣なのだが・・・すまん、ちょっと笑っていいッスか。念のためだが、私たちはガンの治療中である。

そして、これを書いている日の昼ごはんは「いちにぃさん」の黒豚とんかつ定食だったりする。ミルフィーユのように何層にも重ねた黒豚もも肉は柔らかく、余分な脂がないのでさっぱりと食べられる。豚汁がまた野菜たっぷりで量も多い。ごはん半分にしてもらうのを忘れたが、気が付けば完食。しつこいようだがガンの治療中である。

第1クールでは早歩きすれば息切れ、階段3段でグダグダ疲れ果てていたが、第2クールのこの普通っぷりはどうなんだ。折しも食欲の秋が到来中。馬も肥ゆるが自分も肥ゆる。デンジャラスな季節だ。

全国的な傾向なのかは分からないが、鹿児島には自然食とかオーガニックとかマクロビオテックとか、健康食と呼ばれる料理を出す店が多い。城山の地球畑にじのたね、レム鹿児島の隣のキッチンキャベツはそれが売りなのでオンコロ女子の御用達。巳八は蒸し野菜、夜行杯は焼き野菜。マルヤガーデンズ内のカフェやレストランでも何気に五穀米だったり、ハンバーグが豆腐やレンコンだったりする。オサレなカフェ飯に味噌汁がついていることもある。外食ばかりではあるが、心がけひとつで野菜はたっぷり取れるはず。

鹿児島での治療中、食事をする店には困らない。ガイドブックやネットで探すのもいい。入院組の人たちは先輩たちから情報を引き継いでいたりするので聞いてみるのもいい。そんなこんなで「行きたい店リスト」を握りしめて悩む、なんてことにもなるわけだ。

治療期間は長いようで意外とあっという間に過ぎてしまう。神様がくれた休暇。どう過ごすかは自由なのだ。