普通日記

働くトリネガ、絵描き修行中につき

情報交換は大事なのだ!

オンコロジーセンターでの治療は始まるとともに、鹿児島でのホテル生活もスタートした。1か月前のセカンドオピニオンの時点では、元気に観光とグルメめぐりをしているはずだった。

しかし体調がすぐれない。だるさが抜けず、ゆっくりとしか動けない。信号が点滅してもダッシュなんかしたら行き倒れること間違いなし。微熱もある。ホテルを引き払って入院させてもらったほうがいいだろうかと本気で考える。考えるが行動に移す気力がない。ただ黙々と治療に通い、最初の週末になった。

診察のない週末のオンコロジー待合室は少し雰囲気が違う。旧知の人たちが楽しそうに集まっていた。気力なんかなくても何となく自然と会話に混ざって、いろいろと話を聞く。

どうやらホテル組は自己申告しなくてはならない項目がいろいろあるらしい。まずは血液検査だ。聞いたその場で看護師の桜井さんに紹介状を書いてもらう。

内服の抗がん剤の処方については次回の診察時に自分で確認すること。だんだん要領がつかめてきた。

初対面で初心者の私に、まさによってたかってオンコロジーの極意を伝授してくれるこの人たちって、どんだけ親切なんだ!

たまたま同じホテルに宿泊中のKさんと夕食に行くことになった。さらに快適に治療を受ける法則を聞く。この日を境に、体調が安定するようになった。どうやら誰かと話をすると元気になるようだ。

言葉のやりとりは特効薬だ。笑うと免疫力が上がるというが、まんざらデタラメではないらしい。

それなら、ということでKさんに教えてもらったオフ会に締切ギリギリで参加表明した。人付き合いに関しては決してフットワークが軽いタイプではないのだが、オンコロジーで会う人たちの様子から、きっと大丈夫だと思えた。

 

少しずつ安定傾向とはいえ、やはり体調が良いとはいいがたい。暑さに慣れていないせいもあるのだろう。

血液検査後、病院を出てザビエル公園のあたりで動けなくなった。冷や汗が吹き出し、胃がむかつく。目の前の景色が白黒のモザイク状になり耳鳴りがひどい。意識がぼんやりしてきた。なんじゃこりゃー。どうにか病院に引き返し、しばらく休ませてもらった。こんなことは初めてだ。

人に対しては前向きになれたが、自分の健康に関しては少し臆病になった。総合病院で処方されたまま残っていた解熱剤が数日分しかない。市販の解熱剤を買う。抗がん剤投与以前の当たり前だった日常は現実だったのかすら分からなくなっている。